夜明け前の闇   「地上の星」へ
 

 日本の夜は長い。本当に長い。
 小泉政権が誕生した2年近く前、内閣支持率は9割前後という驚異的な数字を残した。小泉首相は、戊辰戦争に敗れた長岡藩の故事「米百俵」を挙げ「今日の痛みに耐え明日を切り開こう」と国民に呼び掛けた。しかし米百俵の実りは、実感どころか、今なお予
感すらできない。みんな待ちくたびれ、いらだっている。
 日が昇るのはいつになるのか?朝は本当に来るのか?

 中島みゆきの歌「地上の星」が“史上最遅“のミリオンセラーになった。無名の職業人群像を描くNHK番組「プロジェクトX」の主題歌ということは、今や誰もが知っている。これだけ息の長いヒット曲になったのはなぜか。ある著名な経済誌の編集長が「CDを買う人の多くが高度成長期のノスタルジーに浸っている。これでは日本の再生は、まだ遠いだろう」とテレビで話していた。
 しかし、購入の動機はノスタルジーだけだろうか。政治主導の「夜明け」に期待するのをやめた人の多くが、自ら夜も輝く「地上の星」になろうとしているのではないか。紅白歌合戦で中島がステージとした黒部ダムの工事現場では、作業員全員が仕事前にこの歌を聞くそうだ。彼らもまた、地上の星であろうとしている。

 「朝の来ない夜はない」。しかしバブルがはじけ10年以上…。日本の夜はあまりにも長い。離職し求職戦線の闇を歩く人々は、自ら光り輝く誓いを胸に秘める。私たちは失業保険という「米百俵」を無駄にせず、自身のスキルアップ(職業能力の向上とでもいえばいいのか)に生かした。こちらの百俵は、近い将来確かな実りになるだろう。私たちもまた地上の星を目指す。地上の星の無数のきらめきが、日本の夜のとばりを開く日を信じて…。